摩訶不思議な犬との生活
小さい頃から毎年夏には海へ連れて行ってもらってる。
去年の8月は「今年も海で遊べてよかった」って飼い主談。
そりゃ、ラブは海で働くのが仕事だったらしいから水を見ると血が騒ぐ。
でも、いい加減歳だからなぁ・・・ちょっと自信がないなぁ・・。って気持ちもする。
調子に乗ってザブザブ入って、あららと言う間に流されそうで。
12歳になった頃からいろんな事が不安になった。
夜の物音や、大きな音、突然自分の身体に何かがぶつかってくる事や、犬ガムを齧ること。
夏の暑さはからっきし苦手になって、息苦しくてやるせない。
そんな僕の進化を見ている飼い主は「そろそろ」とか「いよいよ」とかいう言葉を使うようになった。
出来そうで出来ない微妙なお年頃ってのもあるけど
出来ていたのが出来なくなるっていう進化もお年頃でやってくるようで
そんなこんなで去年の海は「思い出になるかもしれない海水浴」だったらしい。
「立派に泳いで見せたさ。」
「やるときゃやるよ、ラブだから」
まったく犬族ってのは
気前が良くて親切で、期待にこたえようと必死になったりして
時々自分で「なにやってんだ?」って思うけど
「これもラブの血なのかな?」
飼い主の期待に答える為にここにいるわけじゃないのに
振り向くといつもそういうことになっていて
世の中上手く納めるためにはこんなことが必要なんだってコトなのかな。
僕の命の行方は、生まれたときから何かに流されていて
気がついたらこんな事になっているんだけど
果たしてコレでよかったのか・・・ってそんなコトは考えない。
飼い主が勝手に僕を選んでお金で買った。
僕が病気になれば好きなだけ治療費をつぎ込んで命を繋ぎ
生活を保障し、命を苦痛の無いように全うさせる責任を負うべく
僕を必要としたんだ。
僕の生き様を見せてあげるよ。
壮絶な命の在り様は
楽しい時間のおまけつき、犬との生活。
振り返ればほんわか心が暖かくなる。
摩訶不思議な世界なんだ。
そろそろ眠くなったな
続きはまた今度。
とっぴんぱらりの ぐーすかぴー